
昔と違い、今はほとんどの方がファッションカラー(おしゃれ染め)もしくはグレイカラー(白髪染め)をしています。
皆さんの中にもヘアカラーをすることでダメージが気になったり、かゆみや湿疹などを感じることでアレルギーの心配などされている方は多いのではないでしょうか??
ヘアカラーを続けていく上でダメージとアレルギーのリスクは必ずついてきます。
そのリスクを完全に0にすることは難しいかもしれませんが、少しでもダメージレスに、そして安全にできたら嬉しくありませんか??
ヘアカラーにおけるダメージの原理

ヘアカラーをしたことがある、またはし続けている方であればカラーをした直後やしばらく経った後に髪のパサつきやごわつきなどのダメージを感じたことかと思います。
当たり前のことかもしれませんが、ヘアダメージというものは髪の一番外側から、すなわちキューティクルから始まっていきます。
まずカラー剤を髪の毛につけた瞬間から薬剤に含まれるアルカリ剤がキューティクルを開きます。キューティクルが開いたのちにカラー剤の成分が中に入っていくわけですが、この時に通って行く道となっているのが実は脂質でできていて、カラー(アルカリ)がこの成分を流出させやすくしてしまうのです。
この成分自体が髪の毛の水分や油分を保つために非常に重要な役割をになっています。この大事な脂質からなる成分をいかに守っていくか。それがカラーはもちろん、ケミカル施術をする上では重要となってくるわけです。
よく美容師さんがトリートメントをお勧めしてきたりするのは、タンパク質などもありますが大体この脂質成分を補給したいということなんですね。
髪内部へと侵入したカラー剤は次にメラニン色素を破壊していきます。メラニン色素には種類がありますが、まずは濃い色のメラニン色素から破壊されていきます。メラニン色素が破壊される=髪が明るくなる ということです。完全にメラニンがなくなると白髪になります。(実際にはほんの少し残っているので完全な白ではありません)
メラニンが破壊されるとそこは空洞となっていわゆる《ダメージホール》というものができます。このダメージホールも放っておくと穴自体が広がっていき、どんどん傷みが進んできてしまいます。穴が広がらないようにするためには、穴を埋めておくこと。だからしっかりとトリートメントをしておくことが大事となってくるわけです。
ヘアカラーにおけるダメージの予防

ヘアカラーにはダメージがつきものということがわかりました。
でも、できればやっぱりダメージレスにカラーをしたいですよね。傷ませないためにはどういったことが必要なのでしょうか??
髪は死んだ細胞の集まり
言い方は良くないですが、髪の毛というのは死んだ細胞の集まりです。髪の毛を引っ張ると確かにつながっている頭皮は痛いですが、外に出ている部分は折り曲げても千切れても痛くありませんよね??
死んだ細胞ということは、つまり肌のように自分で傷を治せないということです。
前述したように傷んだ髪の毛に対して美容師さんがトリートメントを提案してくるのは髪の毛を再生するためではなく、一時的にタンパク質や脂質などを補給してダメージした髪の毛をダメージしていない状態に見せるためということになります。
補給したものは残念ながらまた時間の経過とともに流れ出ていきます。仮に担当の美容師さんが「このトリートメントは髪のダメージを再生します」などあり得ないことを言ってきたら少し胡散臭いかもしれません…笑
再生することができない。ということは減点されていくしかない、つまり減点=ダメージをいかに減らしながらカラー施術を行っていくかが重要となってきます。
重要なのはダメージの予防とアフターケア

ダメージの予防
カラー剤には一部の明るくする力がないものを除き、アルカリ成分が必ず入っています。
まずはカラー施術を行う前にアルカリ成分の影響をいかに少なくするか、そして髪がもともと持つタンパク質や脂質をいかに守りながらカラー施術を行っていくかが重要となってきます。
そのために行うべきなのが事前のトリートメントケアです。
多くの美容室では、カラーの施術を行い傷みが出てしまった後にトリートメントをしていくわけですが、これではトリートメントが髪からなくなってしまえば、やはりダメージが気になってきてしまいます。
よりダメージレスに施術をするためにはカラーの施術を邪魔しないように、かつカラー施術中の毛髪を保護できるトリートメントを用いてしっかりとケアをした上でカラー施術に入っていくことが大事となります。予防をすることで、カラー後にトリートメントを行うのに比べてカラー自体のダメージを大幅に軽減できるので、トリートメントが落ちてしまった後もよりダメージレスな状態が続きます。
アフターケア
カラー直後のケアも、もちろん大切です。事前にトリートメントケアをしているとはいえ、必ずダメージは出てしまいます。それをさらに軽減させるために必要なのがアフターケアです。カラー施術後にやるべきなのが、アルカリ除去と過酸化水素の除去です。
これまで何度も出てきているダメージの原因であるアルカリ。これはカラー直後に何もしないでいると髪に居続けます。(髪がアルカリ性からもともとの弱酸性に戻らない)つまり、髪の毛がダメージしやすい状態で居続けてしまうということです。これ、実はかなり危険です。髪がアルカリ性であるということは…お気付きの方もいらっしゃるかと思います。そうです、髪の毛の内容成分が外に出ないようにフタ的な役割をしてくれているキューティクルが開きっぱなしになっているということです。そうすると、当然中の栄養は外に垂れ流し状態になってしまったり、キューティクル自体が剥がれてしまったりしてしまいます。結果ダメージが大幅に進行してしまい、枝毛や切れ毛の大きな原因になってしまうということになります。美容師さんからこう言った説明を受けたことがない方は、ぜひ確認してみてください。もしかしたら怖い結果になるかもしれません…汗
そして、過酸化水素の除去。カラー剤は必ず1剤と2剤の二つがセットになっています。その中の2剤の有効成分が、過酸化水素です。この過酸化水素が髪に残ってしまうと、どう言った害があるのかというと…
カラーの反応が続き、髪が明るくなってしまう。または色落ちが早くなる
毛根の細胞を攻撃して頭皮ダメージを与える(薄毛の原因)
皮脂を酸化させ、落ちづらくなり毛穴を塞いでしまう
などいろいろなものがあります。
これは放っては置けませんね。。
美容師さんが残したものはしっかり取り除いて欲しいものです。
意外とこういった残留物質の除去ということをやっていない美容室さんが非常に多いという現実もあります!
注意が必要です…
もちろんご自宅でできるケアもあります!
シャンプーやトリートメントの中にもアルカリ除去や過酸化水素の除去をしてくれる効果のあるものもあるのでオススメです。
ちなみに、まだ少し先になりますが夏になると海に行く機会がある方も多いかと思います。実は海もバッチリアルカリ性なので、これもしっかりケアしたいところです。海に行くと髪がバサバサになりますよね??それは海がアルカリ性だから、髪の毛のキューティクルが開いて髪内部の栄養が抜け出ていってしまうからなんですね。もちろん色が抜けてしまうのもこのためです。
ダメージの予防とアフターケアの重要さ、お分りいただけましたか??
ダメージレスなカラーの後、次はアレルギーのお話です。
ヘアカラーのアレルギーについて

カラーをされる方の中には毎月、もしくは白髪染めの方だと2週3週に一度のペースでカラーをされる方も珍しくはありません。
繰り返しのカラーをする中で心配になってくるのはダメージだけではありません。他にも薄毛であったり、アレルギーであったりと心配はつきもの。
ここではそういった心配を少しでも減らしていくために着目したい点をご紹介していきます。
カラーに含まれるアレルギー物質
皆さんの中にも聞かれたことがある方も多いかと思いますが、ジアミンと呼ばれるものがそれにあたります。ではなぜアレルギー物質であるこのジアミンがカラー剤に配合されているのか。それには理由があります。まず、ジアミンというのは染料の一種であり、ブラウン系の色を発色するためには必要不可欠です。白髪染めやトーンダウン(明るさを暗くする)などのカラーにおいてはかなり重要となってきます。
ノンジアミンカラーというものもありますが、やはりしっかり染まるというまでは難しいのが現状です
なので必要悪として、ジアミンがカラー剤には配合されています。
カラー剤の種類はたくさんありますが、その中でも実は処方により違いがあります。
パラミン処方
こちらの処方のカラー剤がほとんどを占めています。そして、ジアミンアレルギーの方の多くがこの種類のジアミンが原因となっています。実際に症状が出ないかたの方が圧倒的に多いのは確かですが、ジアミンアレルギーが発症してしまうとかゆみやカブれだけでなく、顔やまぶたの腫れ、じんましんや呼吸困難になる恐れすらあります。本当に怖いことです。
トルイレン処方
こちらの処方のカラー剤はパラミン処方のカラー剤に比べ、アレルギー反応が出る可能性がかなり少ないです。国の機関の調べでジアミンアレルギーを発症している方100人にパラミン処方のカラー剤とトルイレン処方のカラー剤をそれぞれ使ってパッチテストを行った結果、パラミン処方のカラー剤では8割程度の方に反応がみられ、トルイレン処方のカラー剤では2割程度の方にのみ反応がみられたという結果が出ています。
パラミンとトルイレンとでは溜まっていくコップが違う
花粉症を例にしてご説明いたします。
現代病とも言える花粉症。発症するタイミングは人によってそれぞれ違いますね。耳にしたことがある方も多いと思いますが、花粉症などのアレルギーとは自分自身の中にあるコップの容量をオーバーした時点で発症すると言われています。
ジアミンアレルギーに関しても例に漏れず同じ原理となっています。なので、今までヘアカラーをしていてもなんともなかった方も急にかぶれなどの症状が出てしまうことがあるのです。(初めは軽い湿疹などから始まるケースも多い様です)
パラミン処方にせよトルイレン処方にせよ、どちらにしても持っているコップに溜まっていくことは確かです。では何が違うのかというと、それはコップに溜まっていく速度。パラミンの方がトルイレンに比べて圧倒的に早いということがわかっています。
ということはつまり、今現在アレルギーになっていない方もトルイレン処方のカラー剤で施術をしていくことでアレルギーになるリスク自体を回避できる可能性が大幅に上がると言うことです。
今までそういった説明を受けていない方がほとんどだとは思いますが、体質的にそういった心配があるという方は、ノンジアミンカラーやヘナやマニキュアだけでなくトルイレン処方のカラー剤というのも探すポイントの一つとされてみてはいかがでしょうか。
心配な場合はパッチテスト
リスクがすくないとは言え、もちろんアレルギーが出てしまう可能性もあります。
昔からアレルギー反応の有無を調べるために有効なのがパッチテストです。
今現在ジアミンアレルギーを発症している方はもちろん、心配な方はやはりパッチテストをお勧めいたします。
パッチテストのやり方をご説明します。
実際に使うカラー剤をを綿棒にとり、腕の内側に10円硬貨大にうすく塗って自然乾燥させます。つけたカラー剤が乾くまで衣服につかないように注意しましょう。30分くらい放置しても乾かない場合は薬剤のつけ過ぎです。余分な薬剤をコットンやティッシュペーパーでこすらないように軽くふきとってください。
そのまま触れずに48時間放置します。(時間を必ず守ってください。)薬剤を塗ったところは絆創膏等で覆わないでください。テスト部位の観察は薬剤塗布後30分くらいと48時間後の2回行ってください。そのとき、塗布部に発疹、発赤、かゆみ、水疱、刺激など皮膚の異常を感じた場合には、手などでこすらないで、すぐに洗い落としてください。(48時間以前であっても、同じような異常を感じた場合も同様です。)
チェックしてみて異常がなければカラーの施術をしても大丈夫でしょう。
多くの方がが定期的に行っているヘアカラー。いいことばかりではなく、ダメージやアレルギーなどのリスクもあります。また、その説明を責任持って行うのは美容師の役割です。
外国人風のヘアカラーが大流行していますが、必ずダメージは伴います。ヘアデザインとダメージは、切っても切れない関係です。そのバランスをどの様に上手にとっていくかが鍵になってきます。
全てを取ることはできませんが、なるべく綺麗に、そして健康にヘアデザインを楽しみたいものですね。
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